順次問題解説を掲載します。関税法の問1から問5は、ほとんど条文そのものでしっかり覚えておけばなんのことはなく、各問も原則的問題が多く、で満点5点をゲットしたいところである。
それでも迷ったときのためのヒントになるような解説をします。
第1問 次の記述は、輸入通関に関するものであるが、( )に入れるべき最も適切な語句を下の選択肢から選び、その番号をマークしなさい。
1. 特例申告に係る貨物以外の貨物を輸入しようとする者は、当該貨物の品名並びに( イ )数量及び価格その他必要な事項を税関長に申告し、必要な検査を経て、その( ロ )を受けなければならない。
2. 輸入申告は、その申告に係る貨物を、原則として( ハ )に入れた後にすることとされている。
3. 輸入申告に際しては、原則として( ニ )を税関に提出しなければならない。
4. 特例申告に係る貨物以外の貨物であって、申告納税方式が適用されるものについては、輸入申告に併せて( ホ )に関する申告をしなければならない。
@ 開港又は税関空港 A 確 認 B 課税標準となるべき
C 関税の納付 D 許 可 E 仕入書
F 仕入書に記載された G 指 定 H 承 認
I 信用状 J 他の法令による許可又は承認 K 配送先
L 船荷証券 M 船荷証券に記載された N 保税地域
穴埋め問題は、まったく知らなくても文法的に答えが限られます。
イは数量の前に句点がないので修飾語しかはいりません。そうするとB、F、Mしかありません。航空貨物もあることからMはあきらかに誤り。BとFで選ぶとしてBのほうが一般的だから(仕入書価格は申告において運賃加算等が必要な場合がある)Bが答え。
ロは、文脈から税関長の行政行為。A、D、G及びHが対象。ここから文法的に判断しにくい(申告に対する応答行為としては、確認のほうが普通)。まあ輸入申告、許可は通関の常識としておきましょう。
ハは、場所をあらわしていることから、@、KとN。このうち@は船舶・航空機が主語ならマッチするが貨物を入れるというのには向かない。KとNだがKまで貨物がいってから申告では税関に目が届かないから答えはN.
ニは、提出するものは書類だから、E、IとL。このうち信用状は一部の取引しか使われないし、航空貨物もあることからLでもない。残りはE.
ホは、納税方式が前にある以上Cしかありえない。
第2問 次の記述は、保税地域に関するものであるが、( )に入れるべき最も適切な語句を下の選択肢から選び、その番号をマークしなさい。
1.保税工場に搬入された外国貨物を、その搬入の日から( イ )を超えて当該保税工場に保税作業のため置こうとする場合には、その超えることとなる日前に税関長の( ロ )を受けなければならない。
2.保税蔵置場にある外国貨物が亡失し、又は( ハ )された場合には、当該保税蔵置場の( ニ )に対して、当該貨物に係る関税の納付義務が課される。
3.保税地域にある外国貨物を見本として一時持ち出そうとする者は、税関長の( ホ )を受けなければならない
@ 1年 A 3月 B 6月
C 確 認 D 貨物管理者 E 許 可
F 許可を受けた者 G 検 査 H 指 定
I 承 認 J 消 費 K 総合責任者
L 認 定 M 廃 棄 N 滅 却
イは期間なので@からBのいずれか。1月という選択肢がないのは幸い(平成6年改正以前は1月だった)。期間はきちんと整理して覚えるしかない。
ロとホもE、G、H、I及びLのいずれであるか(特に許可と承認の区分)は基本的には覚えるしかない。
このとき許可は輸入、輸出。見本持ち出し。承認は蔵入れ、滅却と覚えるより、輸入許可、蔵入れ承認、持ち出し許可と覚えていくほうがいい。(外為法の輸入許可、輸入承認と混同しないように)
ハは、MかNだがこの区分もやっかい。廃棄届、滅却承認、亡失滅却と覚えてください。
第3問 次の記述は、関税定率法第19条の3(輸入時と同一状態で再輸出される場合の戻し税)及び同法施行令第54条の13の規定に関するものであるが、( )に入れるべき最も適切な語句を下の選択肢から選び、その番号をマークしなさい。
1.関税を納付して輸入された貨物で、その輸入の時の性質及び形状が変わっていないものを本邦から輸出するときは、当該貨物がその( イ )の日から( ロ )以内に輸出されるものである場合に限り、その関税を払い戻すことができる。
2.関税定率法第19条の3第1項の規定により関税の払戻しを受けようとする貨物を輸入しようとする者は、当該貨物の( ハ )の際に、当該貨物の再輸出の予定時期及び( ニ )並びに当該貨物の性質及び形状その他その再輸出の( ホ )のため必要な事項を記載した書面を税関長に提出して、その( ホ )を受けなければならない。
@ 1年 A 2年 B 6月
C 確 認 D 事 由 E 承 認
F 証 明 G 申告先官署 H 積戻し
I 引取り J 保税地域への搬入 K 輸出先
L 輸入申告 M 輸入の許可 N 予定地
イは、文法的にはCとかEがはいらなくはないが、再輸出の問題から輸入に関連した選択肢のLとMが候補となる。この場合の判断だが、基本的に行政行為に係る期間は、その申請日ではなく行政行為(許可・承認等)の日が基準になるのが一般である。どうしてかというと行政機関の手続期間が長引いたとき有効期間が短くなるのは申請者に不利益になるからである。従ってMの輸入の許可が正解。
ロは、期間だから@からBのいずれかであるが、これ以上は類推はできない。関税定率法関係の戻し税でも期間はまちまちできちんと覚えるしかない。19条の3は1年である。
ハは、税関長に書面を提出する機会は申告しかないからLしかない。
ニは、予定時期及び( )だから予定のついたOしかない。Gが「予定される申告官署」だったら迷うところだが。
ホは2箇所あるので、Cの確認しかない。(例えば承認だと、再輸出の承認になるが、関税法では許可であり該当しない)選択肢に許可があるとか、問題文の終わりを「その再輸出の確認のため必要な事項を記載した書面を税関長に提出して、その( ホ )を受けなければならない。」とあとのほうだけ問題にするほうが難しくなる。
(勉強のためのヒント)
期間を覚えるのは大変です。一度条文をたどって期間と制度との対応を抜き出してみてはいかが。そういう作業をするとかなり覚えることができます。テキストを目でおっていてもなかなか覚えにくいもので、自分の手で書き出すとけっこう頭にはいるものです。
第4問 次の記述は、特恵関税制度に関するものであるが、( )に入れるべき最も適切な語句を下の選択肢から選び、その番号をマークしなさい。
1.特恵関税は、特恵受益国等を( イ )とする物品について適用される。
2.特恵関税適用のための限度額等が設けられている物品については、その輸入額又は輸入数量が当該限度額等を超えることとなったときは、その超えることとなった月の翌月( ロ )の翌日から特恵関税の適用が停止される。
3.特恵関税を適用して特恵受益国等から貨物を輸入しようとする場合には、原則として、( ハ )を税関長に提出しなければならない。( ハ )は、原則として、その証明に係る物品の( ニ )の際に発給されたものでなければならない。
4.特別特恵受益国とは、特恵受益国のうち、( ホ )により、後発開発途上国とされている国で特恵関税についての特別の便益を与えることが適当とされる国をいう。
@ 15日 A 経由地
B 原産地
C 原産地証明書
D 国際連合総会の決議
E 財務大臣の告示
F 初 日
G 生 産
H 世界貿易機関の決議
I 積出地
J 船積み
K 末 日
L 免税証明書
M 輸 出
N 輸出証明書
イは、場所となるからA、B及びIである。関税上の利益を与えることから積出地やまして経由地ではなく、生産した場所すなわち原産地となる。
ロは、・・の翌日だから、@、F及びKが可能性がある。これ以上は推測は難しく、経緯的には、平成13年改正より前は、超えることとなった月の翌月末日の翌日から停止する月別管理品目と、超えることになった日の翌々日から停止する日別管理品目とがあり、これが13年度改正で、現行の超えることとなった月の翌月15日の翌日から特恵関税の適用が停止に一本化されています。
ハは、C、L及びNが想定されるが、税関手続で外国の証明書類はほとんど原産地証明書しかないことを覚えておけば簡単である。
ニは、G、J及びMがありうる。航空機輸送もあるからJではなく、証明書の有効期間からGだと本邦に着いた際にすでに証明書が無効になる場合があるからMとなる。
ホは、D、G及びHが候補。国際的な根拠であるからEは間違い。特恵関税は、生還貿易機関の普遍原則の例外だからLではなく、答えはDとなる。(答えはもちろんDだが以上の立論はやや強引である。原則の例外だからこそ、世界貿易機関の決議という答えもできそうである。)
第5問 次の記述は、関税定率法第4条に規定する課税価格の決定の原則に関するものであるが、( )に入れるべき最も適切な語句を下の選択肢から選び、その番号をマークしなさい。
1.輸入貨物に係る輸入取引に関し買手により負担される( イ )は、課税価格に算入されない。
2.輸入貨物の生産のために必要とされた設計であって、買手により売手に対して無償で提供されたものに要する費用は、当該設計が( ロ )において開発されたものである場合には、課税価格に算入されない。
3.輸入貨物に係る輸入取引に関し、買手による当該輸入貨物の処分につき制限がある場合であっても、当該制限が買手による輸入貨物の販売が認められる( ハ )に係るものであるときは、関税定率法第4条の規定により課税価格を決定することができる。
4.買手による輸入貨物の処分又は使用による収益で直接又は間接に売手に帰属するものとされているものの額が( ニ )ときは、関税定率法第4条の規定により課税価格を決定することはできない。
5.輸入貨物の売手と買手との間に特殊関係がある場合であっても、当該特殊関係が当該輸入貨物の( ホ )に影響を与えていないときは、関税定率法第4条の規定により課税価格を決定することができる。
@ 明らかでない
A 買付手数料
B 現実支払価格
C 仕入書価格
D 仕入書価格を上回る
E 仕入書価格を下回る
F 数 量
G 地 域
H 仲介手数料
I 特恵受益国
J 取引相手
K 取引価格
L 販売手数料
M 本 邦
N 輸出国
イにはいるのは、手数料のA、B、L。買付手数料が、評価不算入は評価の常識といっておこう。(買付手数料不算入の原理は、もっぱら買手のために行動する者への支払は自己の従業者への賃金等と同一視できるものであるとの考えによる。)
ロも、よくでる問題。設計・考案は、開発地が本邦か否かで評価算入が決まる。迷ったときの判断としては、関税評価は特恵関税とは関係ないのでIは誤り。輸出国と本邦では、輸入者に近いほうが不算入と考える。
ハは、処分の制限が価格に影響するかがポイント。Fの数量やKの取引価格は価格への影響が大きい。これにたいして地域の制限は価格への影響が少ないので4条評価が可能になる。
ニは、@の明らかでないときは、決定できないのは明白なのでこれしか答えがない。
ホは、B、CとKが考えられどれももっともらしい。まず仕入書価格だがこれに別払い等の補正をしたものが現実支払価格になり、さらにこれに加算要素等の補正をすると取引価格になり、これが課税価格になるので、特殊関係の影響も最終の取引価格への影響が問題となる。(通常は、特殊関係の影響は仕入書価格に現れるが、別払いや加算要素に現れることもある。従ってもっとも包括的な取引価格への影響としてとらえることになる。)
第6問 次の記述は、関税の課税物件の確定の時期に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。すべてを選び、その番号をマークしなさい。
1.保税蔵置場に置くことの承認を受けた外国貨物については、当該承認の申請がされた時である。
2.保税展示場に入れるための承認を受けて当該保税展示場に入れられた外国貨物であって、当該保税展示場における販売を目的とするものについては、当該販売がされた時である。
3.保税地域において亡失した外国貨物については、当該亡失の時である。
4.保税運送の承認を受けて運送された外国貨物であって、運送途上で亡失したものについては、当該亡失の時である。
5.差押物件で公売に付される外国貨物については、当該公売の時である。
5問から正答を選ぶ問題。ところでこの形式の場合、理論的には正答なしから5問全部が正解までがありうる。しかし通関士試験では、5問から正答をひとつ選ぶ問題とのかねあいから、5問から正答を選ぶ問題は、2問又は3問が正答とすることになっている(少なくとも19年度までの試験ではそうです。20年度以降、急に方針を変えても当局は一切関知しないからそのつもりで。なおこの解説は自動的に消滅しません。(最後の2文でにやりとした人は、私と同年代以上(再放送で見た人はもっと若いか)でしょうか。)
1はややひっかけ。保税蔵置場に置くことの承認を受けた外国貨物については、原則は承認の時で、承認申請時ではない。ほかにも申請時と承認時を入れ替えて×問にしたものがあり要注意。なお、「保税蔵置場に置くことの承認を受けた外国貨物については、当該承認がされた時である。」という問題は、原則正しく、しかし例外があるのでこの形では出題されない。出題するなら「原則として」を入れる。
2も一瞬迷うが、正答は承認時点。
3はこのとおり。
4は運送の承認時点。
5もそのとおり。
さて物件の確定時点の原則は通常の申告貨物は、輸入申告の時で、それ以外のものもなんらかの形で税関が関与している時が基準である。だから運送貨物は運送承認の時であるし、公売貨物は公売時点となる。亡失貨物はそれまで税関への承認申請等がないので亡失の時にしている。(保税蔵置場に置くことの承認を受けた外国貨物については、承認の時が優先するが、3の答えとしてはそこまで考える必要はないようである。)
なお、法適用の基準は、行政処分の申請時ではなく処分時点が基本である(もっとも関税法の適用の大原則に限って輸入許可の時ではなく、輸入申告の時である。)
第7問 次の記述は、輸出申告に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。すべてを選び、その番号をマークしなさい。
1.航空機により輸出される場合の輸出申告書に記載すべき貨物の価格は、当該貨物が船舶により輸出される場合の本邦の輸出港における本船甲板渡し価格に準ずる条件による価格とされている。
2.輸出申告された貨物に原産地が表示されていない場合には、輸出の許可を受けることはできない。
3.輸出申告書の記載事項のうち、申告価格が20万円以下の貨物については、輸出申告書への申告価格の記載を省略することができる。
4.輸出の許可後船積み前に、事故により貨物の数量が減少した場合には、新たに輸出申告をしなければならない。
5.輸出申告価格を計算する場合において、外国通貨により表示された価格の本邦通貨への換算は、輸入貨物につき課税価格を計算する場合の例による。
1は正答(関税法施行令第59条の2第2項のかっこ書)
2は、例えば石油製品を輸出することを考えれば無理なことは明らかである。
3は、価格は必須事項(そもそも価格が省略では20万円以下かどうかわからない)。
4は、誤り(船名・数量変更手続で修正するので、新たな申告は不要。実務ではひんぱんに行われる手続で出題の実務重視のあらわれか。)
5も正答(関税法施行令第59条の2第4項)。
第8問 次の記述は、関税法第7条の2に規定する関税の納付に関する申告の特例に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。すべてを選び、その番号をマークしなさい。
1.特例申告を行う場合には、当該特例申告を行おうとする貨物について、あらかじめ税関長の指定を受けなければならない。
2.特例輸入者の承認を受けようとする者が、関税法その他の国税に関する法律以外の法令の規定に違反して禁錮刑に処せられ、その刑の執行を終わった日から
3年を経過していない場合には、税関長は承認をしないことができる。
3.特例輸入者が輸入貨物に係る地方消費税を滞納したときは、税関長は、特例輸入者の承認を取り消すことができる。
4.特例輸入者が破産手続開始の決定を受けたときは、特例輸入者の承認は効力を失う。
5.関税暫定措置法第8条(加工又は組立てのため輸出された貨物を原材料とした製品の減税)の規定の適用を受けて輸入しようとする貨物については、特例申告を行うことはできない。
ここは19年度改正で大きく回答が変わったところ。
1の貨物の指定は19年度改正廃止された。
2は落とし穴。国税関係以外の法律による処罰歴は、特例輸入者については欠格事項ではない。保税の場合の禁固以上の刑で2年、特例輸出者の場合の、輸出他法令による処罰又はその他の法令による禁固以上で2年としっかり区別しておきたい。
ついでに保税の場合は関税法違反のみ処罰又は通告処分で3年。特例輸出者は、関税法、関税定率法その他関税に関する法律又はこれらの法律に基づく命令違反による処罰又は通告処分で3年。特例輸入者は関税法その他国税に関する法律違反による処罰若しくは通告処分又は関税若しくは輸入消費税又は輸入に係る地方消費税に係る重加算税で3年。ああややこし。
3は関税法第7条の12第2号ロ、4は、関税法第7条の11第1項第4号の規定によりいずれも正解。
5の関税暫定措置法第8条(加工又は組立てのため輸出された貨物を原材料とした製品の減税)の規定の適用を受けて輸入しようとする貨物については、19年度改正で特例申告が可能になった。
第9問 次の記述は、経済上の連携に関する日本国政府とマレーシア政府との間の協定(以下「マレーシア協定」という。)における関税についての特別の規定による便益に係る税率(以下「マレーシア税率」という。)の適用を受けるための手続に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。すべてを選び、その番号をマークしなさい。
1.マレーシア協定に基づく原産地証明書は、その証明に係る貨物について関税法第73条第1項(輸入の許可前における貨物の引取り)に規定する税関長の承認を受ける場合には、輸入申告後相当と認められる期間内であれば、提出することができる。
2.シンガポール経由で本邦に輸入されるマレーシア原産品についてマレーシア税率の適用を受けようとする場合であって、当該原産品の課税価格の総額が30万円以下の場合には、通し船荷証券の写し、シンガポール税関その他の権限を有する官公署が発給した証明書又はその他税関長が適当と認める書類の提出を要しない。
3.マレーシア税率の適用を受けようとする貨物に関し、関税法第43条の3第1項(外国貨物を置くことの承認)に規定する承認を受けた場合は、当該貨物の輸入申告の際には、マレーシア協定に基づく原産地証明書の提出を要しない。
4.シンガポール所在の仲介者Aの発注によりマレ−シア所在の輸出者Bがシンガポール経由で本邦に輸出するマレーシア原産品に係る原産地証明書は、シンガポール税関がマレーシア協定に基づく原産地証明書の様式を用いて発給したものであっても有効である。
5.マレーシア協定に基づく原産地証明書は、その証明に係る貨物に関して関税法第73条第1項に規定する税関長の承認を受ける場合には、当該承認を受ける日において、その発給の日から 2年以上を経過したものであってはならない。
この問題をみたとき唖然としました。細かい、細かすぎる。世のトレンドがEPAとはいえ、試験問題としては細かい手続です。
しかし、試験会場でうなっていてもしょうがないので対応策を考えます。
1は、一般特恵原産地証明書でもある規定。原産地証明書一般に認められた規定と考え正答。
2は、もっともらしい。しかし区分として統計計上区分でもある20万円はあっても、30万円は見たことがない。よって誤答。
3は、関税法施行令第61条だけみると輸入申告としか規定がないので間違いと思いがちだが、関税法施行令第36条の3第3項にこの旨の規定があるので正答。
4も迷うが、国の壁は厚く、シンガポール税関がマレーシア協定に基づく原産地証明書をするわけがないと考えて誤答。
5は、証明書の有効期間は輸入申告の日において発給の日から1年を経過してはならない(関税法施行令第61条第6項(注今年9月の改正前は第8項)となっているから誤答。ただし申告の日から関税法第73条第1項に規定する税関長の承認まで1年以上かからない限り、当該承認を受ける日において、その発給の日から
2年以上を経過したものであれば、輸入申告の日において発給の日から1年を経過しているから無効であることは変わらないだとすれば正答という考えもできそう。問題としては不適当。一応関税協会の答えに従って誤答と考える。関税局の公式発表で再度確認します。
第10問 次の記述は、関税法第73条に規定する輸入の許可前における貨物の引取り(以下「輸入許可前引取り」という。)に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。すべてを選び、その番号をマークしなさい。
1.輸入許可前引取りの承認申請は、当該申請に係る貨物の輸入申告に先立って行わなければならない。
2.輸入許可前引取りの承認は、当該貨物の課税価格に相当する額の担保を提供しなければ、受けることができない。
3.輸入許可前引取りの承認申請は、一の輸入申告に係る貨物の一部についても行うことができる。
4,輸入許可前引取りの承認を受けた貨物については、関税法のすべての規定の適用において内国貨物とみなされる。
5.輸入許可前引取りの承認を受けて引き取った貨物を外国に向けて送り出す場合には、関税法第67条(輸出又は輸入の許可)の規定に基づく輸出の手続を要す。
1は、輸入申告後、輸入の許可前に引き取ろうとする(関税法第73条第1項)だから誤り。なお、実務上は許可前引取りの輸入申告はBPの表示をして、引取申請と同時提出する。
2は、関税額に相当する担保(関税法第73条第1項)とあるから誤り。
3は、関税法施行令第63条後段に「この場合において、当該輸入申告に係る貨物を分割して引き取ろうとするときは、当該申請書にその旨を附記しなければならない。」とあるから一部についても行うことができる。
4は、「この法律の適用については、第四条(課税物件の確定の時期)、第五条(適用法令)、前条、第百五条(税関職員の権限)及び第百六条(特別の場合における税関長の権限)を除くほか、内国貨物とみなす。」(関税法第73条第3項)であるから誤り。
5は、67条の適用上内国貨物とみなされるから、輸出手続きが必要。
(山勘ヒント)すべてとあると大概誤りである(なにか例外がある)。
第11問 次の記述は、輸入貿易管理令の規定に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。すべてを選び、その番号をマークしなさい。
1.輸入貿易管理令第4条第1項の規定による経済産業大臣の承認の権限であって、無償の貨物の輸入に係るものは、すべて税関長に委任されている。
2.輸入貿易管理令第4条第1項の規定による輸入の承認の有効期間は、その承認の申請をした日から6月である。
3.経済産業大臣は、輸入貿易管理令の規定の施行に必要な限度において、貨物を輸入しようとする者又は輸入した者から必要な報告を徴することができる。
4.委託加工貿易契約による貨物の輸出について輸出貿易管理令第2条第1項第2号の規定による輸出の承認を受けた者が、加工された貨物を当該承認を受けた日から1年以内に輸入する場合には、経済産業大臣の輸入の承認を要しない。
5.貨物を輸入しようとする者は、当該貨物の輸入について輸入貿易管理令第9条第1項の規定による輸入割当てを受けることを要するときに限り、経済産業大臣の輸入の承認を受けなければならない
1は、輸入貿易管理令第18条に基づき輸入貿易管理規則第5条で、税関長への委任の範囲を無償の貨物であって経済産業大臣が指示する範囲となっており、限定があるので誤り(指示する範囲は、外国為替外国貿易法(輸入関係)基本通達2-2-1で輸入割当品目の無償貨物(税関が割当書を確認して承認する))。なおここの規定は、19年3月の改正(4月1日施行)により「経済産業大臣が指示する範囲」の限定がはいった。直近改正は出題される、の例。
2は、承認の日から6月であるから誤り。(輸入貿易管理令第5条第1項)
3は、そのとおり(輸入貿易管理令第16条)
4は、その通り(輸入貿易管理規則第3条第1号)。
5は、輸入割当のほか、輸入貿易管理令第4条第2号及び第3号所定の場合も輸入の承認が必要なため、誤り。
(山勘ヒント)
1、ここでも、すべてとある設問は誤りである。
2.許可・承認の有効期間は、申請の日ではなく許可・承認の日から起算が一般。
第12問 次の記述は、関税法上の罰則に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。すべてを選び、その番号をマークしなさい。
1.関税法第118条第1項の規定により没収された犯罪貨物等については、その犯罪を犯した者から当該貨物に係る関税を徴収する。
2.関税法第105条第1項(税関職員の権限)の規定による税関職員の質問に対して偽りの陳述をした者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられることがある。
3.関税法第67条(輸出又は輸入の許可)の申告に際し、通関業者の偽った申告により貨物を輸入した場合には、当該偽った申告をした通関業者についても罰せられることがある。
4.関税法第117条の両罰規定については、人格のない社団等についても法人とみなして適用されることがある。
5.関税法第69条の21第1項(専門委員)に規定する専門委員が、その知り得た秘密を漏らした場合は、国家公務員法第100条第1項(秘密を守る義務)の規定に違反した罪で罰せられるが、関税法で罰せられることはない。
1は、犯罪貨物の没収又はこれに代わる追徴が行われた場合は、当該貨物について関税を課さない。(関税法第118条第4項)ので誤り。常識的に考えても貨物が没収により国庫に帰属した以上、さらに関税を課す理由はない。
2は正答(関税法第114条の2第10号)
3は正答(関税法第111条第2項)
4は正答(関税法第117条第3項)
5は誤り。専門委員の秘密をもらす罪は関税法第115条の3で6月以下の懲役又は50万円以下の罰金(守秘義務は関税法台69条の21)。なお専門委員は関税法の「委嘱する」という文言からも国家公務員法上の職員ではないと解される。
ここも19年度改正(19年6月1日施行分)で影響を受けている。
2の罰則は、「50万円以下の罰金」が「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に引き上げになった。
3の罰則は、新設である。
ところで罰則について特に「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」のものと「1年以下の懲役又は30万円以下の罰金」との区別は、項目が多いこともあってとても覚えきれないと思います。今回の出題も懲役が加わったことがわかればいいとの趣旨と思います。20年以降そんな意地悪問題がでないことを祈ります。
第13問 次の記述は、電子情報処理組織による税関手続の特例等に関する法律(以下「NACCS特例法」という。)及び同法施行令等に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。すべてを選び、その番号をマークしなさい。
1.NACCS特例法に規定する「国際貨物業務」とは、税関手続及び税関手続に先行し、又は後続する業務をいう。
2.通関士は、電子情報処理組織を使用して他人の依頼により行う輸入申告の内容を審査する場合には、入力の内容を紙面に出力して行わなければならない。
3.保税蔵置場における保管料の計算又は請求に関する業務は、NACCS特例法に規定する「国際貨物業務」に含まれる。
4.輸入貨物に係る関税法第70条第1項(証明又は確認)の規定による税関への証明は、電子情報処理組織を使用して行うことができる。
5.電子情報処理組織を使用して輸入(納税)申告を行う場合には、関税法第68条第1項(輸出申告又は輸入申告に際しての提出書類)の規定により税関に提出すべきものとされている仕入書を税関に提出する必要はない。
1は誤り。国際貨物業務は、NACCS特例法施行令第1条に個別に列記されている。(なんとなく通関業法第7条に規定する通関業者の関連業務との混同をねらったような気もしないこともない)
2は、入出力装置の表示装置に出力してもいい(NACCS特例法施行令第7条)ので誤り。
(蛇足、ここの規定は平成11年に改正するまで「紙面又は陰極線管」となっていました。つまり液晶ディスプレイの場合は、画面で審査してはいけなかったのです。現実にこのとおり施行されていたとは思いませんが、技術の進歩に法令が着いていけなかった典型です。)
3はそのとおり(NACCS特例法施行令第1条第6号)
4はそのとおり(NACCS特例法施行令第1条第2号)
5は誤り。提出義務がある(NACCS特例法施行令第4条第2項)
この出題は実務者向けという気がします。申告内容はいつも画面で見ているし、保管料も計算している。70条の確認もNACCSでしている。電子申告でも仕入書はやはり税関に出さなければいけない。といったことを毎日している人は即答できる、そんな問題にしていると思います。
第14問 次の記述は、輸出してはならない貨物又は輸入してはならない貨物に係る専門委員への意見の求めに関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。すべてを選び、その番号をマークしなさい。
1.専門委員は、輸入貨物が特許権を侵害する物品に該当するか否かについての認定手続において、税関長から意見を求められたときは、その求めがあった日から起算して30日以内に、書面により意見を述べなければならない。
2.税関長は、輸入貨物に係る認定手続において、当該貨物の輸入者又は権利者から要請があった場合に限り、専門委員に意見を求めることができる。
3.税関長は、輸出差止申立てがあった場合には、その申立ての際に提出された証拠が当該申立てに係る侵害の事実を疎明するに足りると認められるか否かについて、専門委員に意見を求めることができる。
4.税関長は、認定手続において専門委員に意見を求めるときは、その旨及び理由を記載した書面に、当該意見の求めに係る疑義貨物についての資料その他の専門委員が意見を述べるに際し参考となるべき資料を添えて、専門委員に送付しなければならない。
5.税関長が専門委員として委嘱できる者は、知的財産権に関し学識経験を有する弁護士又は弁理士に限られる。
1は、そのような期間を定めた規定はない。
2は、「必要があると認めるとき」であるから誤り(関税法第69条の15)
3は、正答(関税法第69条の14)
4は、正答(関税法施行令第62条の30)
5は、「学識経験を有するもの」であって弁護士又は弁理士の限定はないから誤り(関税法第69条の5)。
これも難しい問題。知的財産立国の大方針の関連で出題か。
(山勘ヒント)
1は、行政が委嘱する委員に対し、期間の設定はふつうしないだろう。×
2は、職権による求めがあるだろうから×。
3は、もっともだから○。
4も、もっともで○。
5は、こういう委員は「学識経験」という行政に任命の裁量がしやすくするのが普通で資格で限定はあまりしないとして×。
第15問 次の記述は、関税定率法第7条に規定する相殺関税に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。すべてを選び、その番号をマークしなさい。
1.政府は、補助金の交付を受けた貨物の輸入の事実及び当該輸入の本邦の産業に与える実質的な損害等の事実についての十分な証拠がある場合において、必要があると認めるときは、これらの事実の有無につき調査を行うものとされている。
2.関税定率法第7条第6項の規定に基づく相殺関税に関する調査が開始された場合において、当該調査に係る貨物の補助金を撤廃する旨の約束の申出を行うことができる者は、当該貨物の輸出国の政府に限られる。
3.関税定率法第7条第6項の規定に基づく相殺関税に関する調査は、当該調査を開始した日から1年以内に終了しなければならないが、特別の理由により必要があると認められる場合には、6月以内に限り延長することができる。
4.関税定率法第7条第6項の規定に基づく相殺関税に関する調査が開始された日から 60日を経過する日以後であれば、その調査が完了する前であっても6月以内に限り、補助金の額に相当すると推定される額の担保の提供が命じられることがある。
5.外国において生産又は輸出について直接又は間接に補助金の交付を受けた貨物の輸入が本邦の産業に実質的な損害を与え、かつ、国民経済上緊急に必要があると認められるときは、相殺関税を課すことができる。
1は、正答(関税定率法第7条第6項)
2は、もっともらしいが補助金の出し手は政府に限らない(例えば地方自治体もある)ので広く当局となるので誤り。(関税定率法第7条第8項第1号)なお、厳密には供給国(輸出国又は生産国)の当局である。
3は正答(関税定率法第7条第7項)
4はあやまり。いわゆる暫定措置の期間は4月である。(関税定率法第7条第10項)。不当廉売関税の暫定措置は、状況により9月、6月、4月以内の場合があるが相殺関税は4月以内の場合しかない。
5ももっともらしいが相殺関税賦課の要件は、「本邦の産業を保護するために必要がある」であるから誤り(関税定率法第7条第1項)。なお「国民経済上緊急に必要がある」は、緊急関税の要件である。
また、相殺関税の課税要件としての被害は、損害を与える場合のほか、損害を与えるおそれ及び産業の確立を実質的に妨げる場合があるが、問題としては「に限り」としていなので、これらの要件がないことは問題の正誤に影響しない。
この問題もいやらしいですね。特に4番のように期間の違いで×問にされるのはしんどいです。
ここも最近の特殊関税に積極的になった関税局の姿勢のあらわれでしょうか。
来年は報復関税あたりでしょうか。
第16問 次に掲げる行為のうち、関税法上の輸入に該当しないものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、該当しないものがない場合には、「0」をマークしなさい。
1.保税展示場において、観覧者が外国貨物である酒類を試飲する行為
2.外国の船舶により公海で採捕された水産物を、本邦から出漁した本邦の船舶内で加工し、その製品を本邦に引き取る行為
3.保税地域に置かれている外国貨物の一部を、当該貨物を輸入しようとする者が分析のための見本として当該保税地域において消費する行為
4.本邦の領海内において、沿海通航船が外国貿易船から外国貨物である船用品の供給を受ける行為
5.旅客が、その携帯品である外国貨物を輸入する前に、本邦においてその個人的な用途に供するため消費する行為
1は、保税地域内での消費であるから輸入に該当する。
2は、外国の船舶により公海で採捕された水産物は、外国貨物でありその加工品も外国貨物であるので、本邦への引き取りは輸入となる。
3は、保税地域内での消費であるから輸入に該当する。(税関職員や植物防疫職員の検査のために消費は除外規定があるが、輸入者の分析消費は規定がない)
4は、外国貨物である船用品の国内引取であり輸入となる。
5は、国内引取前の消費の除外規定に該当するので輸入ではない(関税法施行令第1条の2第2号)
第17問 次の記述は、関税の納税義務に関するものであるが、その記述の誤っているものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、誤った記述がない場合には、「0」をマークしなさい。
1.総合保税地域外における保税作業の許可を受けて税関長が指定した場所に出されている外国貨物について、税関長が指定した期間を経過してもなおその場所に置かれている場合に課される関税については、当該総合保税地域外における保税作業を行う者がその関税を納める義務を負う。
2.外国貿易機に積み込むことの承認を受けた機用品である外国貨物が、当該承認の際に税関長が指定した積込みの期間内に当該外国貿易機に積み込まれなかった場合に課される関税については、当該承認を受けた者が当該関税を納める義務を負う。
3.保税展示場にある外国貨物について、税関長が当該保税展示場の許可の期間の満了の際に期間を定めて当該外国貨物の搬出その他の処置を求めたにもかかわらず、当該期間内に当該処置がされない場合に課される関税については、当該保税展示場の許可を受けた者が当該関税を納める義務を負う。
4.郵便物に課される関税については、これを受け取ろうとする者が当該関税を納める義務を負う
5.関税定率法第17条第1項(再輸出免税)の適用を受けて輸入された学術研究用品であって、その輸入の許可の日から1年以内に輸出されないものの関税については、当該輸入した者が当該関税を納める義務を負う。
1は、納税義務者は、総合保税地域の許可を受けた者(関税法第62条の15のきていにおいて準用する同法第61条第5項)であり、かつ、貨物を管理していた者が連帯して納付する義務を負う(関税法第62条の13)から、設問は誤り。
2は、正答(関税法第23条第6項)
3は、正答(関税法第62条の6第1項)
4は、正答(関税法第77条第3項)
5は、正答(関税定率法第17条第4項)。なお、法律は「免除を受けた関税を徴収する」とあり、誰からと明示していないが、免除を受けた者は輸入者だから、受けた者から徴収することになるので納税義務者は輸入した者である。
第18問 次に掲げる関税のうち、申告納税方式が適用されるものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、適用されるものがない場合には、「0」をマークしなさい。
1.保税運送の承認を受けて運送された外国貨物であって、当該承認の際に指定された運送の期間内に運送先に到着しなかったものに係る関税
2.関税定率法第15条第1項(特定用途免税)の適用を受けて輸入された貨物であって、当該輸入の許可の日から2年以内に転売されたものに係る関税
3.輸入の許可前引取りの承認を受けて国内に引き取る貨物に係る関税
4.過少申告加算税及び無申告加算税
5.保税地域に入れられた外国貨物であって、当該保税地域において亡失したものに係る関税
1は、賦課課税(関税法第6条の2第1項第2号ニ)
2は、賦課課税(関税法第6条の2第1項第2号ニ)
3は、申告納税(関税法第6条の2第1項第2号のいずれにも該当しないので同項第1号により申告納税)。別の見方をすると輸入の許可前引取りの承認の前提は、輸入納税申告があることであるから申告納税が適用される。
4は、賦課課税(関税法第6条の2第1項第2号へ)
5は、賦課課税(関税法第6条の2第1項第2号ニ)
第19問 次の記述は、特定輸出申告制度に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、正しい記述がない場合には、「0」をマークしなさい。
1.特定輸出申告の対象となる貨物は、過去1年間に輸出した実績のある品目に限られる。
2.特定輸出者の承認を取り消す場合には、税関長は、審査委員の意見を聞かなければならない。
3.特定輸出申告を行おうとする場合には、当該申告を行うことを予定している税関官署をあらかじめ税関長に届け出なければならない。
4.特定輸出申告は、特定輸出者の承認を受けた税関の管轄内においてのみ行うことができる。
5.保税地域に置かれている貨物については、特定輸出申告を行うことはできない。
1はそのような規定はない。
2は、そのような規定はない。審査委員は通関業法に基づく通関業者の処分のときのみ関係する。
3はそのような規定はない。
4はそのような規定はなく、「いずれかの税関長の承認」(関税法第67条の3)と規定し、全国で申告可能である。
5はそのような規定はない。
従ってこの問題は該当なしの、「0」をマークになる。
(蛇足)特定輸出申告は、貨物が置かれている場所又は積み込み予定の開港若しくは税関空港を管轄する税関に対して行うが、NACCSのシステムは、当初輸出者の自社施設に置かれた状態を想定して設計された。そのため蔵置場所に保税蔵置場であるコンテナヤードをいれるとシステム処理ができなかった。ところが制度運用開始直後にそのような申告を希望する特定輸出者があり急遽システムの改変が行われた。(法的にもちろん置く場所の限定は、特定輸出者が管理できる限りない)
第20問 次の記述は、輸入通関に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、正しい記述がない場合には、「0」をマークしなさい。
1.特例申告に係る貨物の輸入申告に際しては、当該貨物の価格を申告する必要はない。
2.電子情報処理組織を使用して輸入申告を行う場合には、当該申告に係る貨物を保税地域に入れる必要はない。
3.原産地について誤認を生じさせる表示がされている外国貨物については、税関長は、その貨物について輸入申告をした者の選択により、その表示を消させ、若しくは訂正させ、又は当該貨物を廃棄させなければならない。
4.特例申告に係る貨物を輸入申告の後輸入の許可前に引き取ろうとする場合には、当該貨物に係る関税額に相当する額の担保を提供して税関長の承認を受けなければならない。
5.関税法第67条(輸出又は輸入の許可)の検査は、あらかじめ税関長に届け出ることにより、税関長が指定した場所以外でも受けることができる。
1は特例申告においても価格は申告事項(関税法第59条第1項第1号)。なお、特例申告貨物で有償の場合にどのような価格を申告するかは関税法施行令には規定がなく、税関様式通達の記載要領に「仕入書その他の輸入取引に係る書類に記載された当該貨物の価格(その価格が契約の内容と相違する場合にあっては契約の内容に適合する価格)」と規定されている。
2は、そのような規定はない。NACCCS処理が全申告の90%以上になっている現在、このような規定があると保税制度はかなり様変わりするでしょう。
3は、「その表示を消させ、若しくは訂正させ、又は当該貨物を積み戻しさせなければならない。」(関税法第71条)であり、廃棄ではなく積戻しだから誤り。
4は、輸入許可前引取りは特例申告貨物には適用されない(関税法第73条)ので誤り。特例申告は課税価格申告を後日するので輸入許可前引取りの目的と重複するので対象から除外された。なお通常特例申告している貨物について、価格決定が数ヶ月後になるような事情があるときは、通常の輸入申告して許可前引取りをすることになる。
5は、指定地外検査は税関長の許可((関税法第69条第2項)であるので誤り。
従ってこの問題は該当なしの、「0」をマークになる。
第21問 次の記述は、関税法第70条に規定する他法令の証明又は確認に関するものであるが、その記述の誤っているものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、誤っている記述がない場合には、「0」をマークしなさい。
1.保税工場において製造された外国貨物を外国に向けて積み戻す場合には、関税法第70条の規定が適用される。
2.受取人の個人的使用に供される貨物を国際郵便により輸出する場合には、関税法第70条の規定が適用される。
3.仮に陸揚げされた貨物を外国に向けて積み戻す場合であっても、当該貨物が外国為替及び外国貿易法第48条第1項(輸出の許可等)の規定により経済産業大臣の輸出の許可を受けなければならないものである場合には、関税法第70条の規定が適用される。
4.特定輸出申告又は特例申告貨物に係る輸入申告を行う場合には、関税法第70条の規定が適用される。
5.関税法第70条第1項の証明が必要とされる貨物について、輸入申告の際に偽った証明をして当該貨物を輸入した者については、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することとされている。
1は正答。関税法第75条で外国貨物の積み戻しに第70条の規定が準用される。
2は正答。関税法第76条第1項でいったん郵便物について第70条の規定を適用しないとしながら、第76条第4項で第70条を読み替えて準用している。
3は正答。仮陸揚げ貨物の積戻しについては、19年度改正(19年6月1日施行分)以前は全面的に第70条の準用から除外されていたが、改正後は、該貨物が外国為替及び外国貿易法第48条第1項(輸出の許可等)の規定により経済産業大臣の輸出の許可を受けなければならないものである場合には、関税法第70条の規定が準用されることになった。
4は、正答。除外規定はない。制度の説明でも他法令確認は変わりないことが強調されている。
5は、正答。ここも19年度改正(19年6月1日施行分)で変更されたところ。従来は第113条の3で輸入に際して偽った証明をする罪は1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科だったものが、改正後は無許可輸入罪と統合して第111条に規定され大幅な引き上げとなった。
従ってこの問題は該当なしの、「0」をマークになる。
3問続けて該当なしなので、受験生は不安になるかもしれないが個々の判断を信じましょう。
改正部分の出題はここにもありました。
第22問 次の記述は、外国貨物等の運送に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、正しい記述がない場合には、「0」をマークしなさい。
1.保税運送の承認を受けて運送された外国貨物が、当該承認の際に指定された運送の期間内に運送先に到着しないときは、税関長は、当該貨物の荷受人から直ちに関税を徴収する。
2.仮に陸揚げされた外国貨物は、そのある場所と開港又は税関空港との間に限り、外国貨物のまま運送することができる。
3.輸出の許可を受けて外国貿易船に積み込まれた外国貨物を他の外国貿易船に積み替えて運送する場合には、保税運送の手続を要する。
4.保税運送の期間の延長の申請は、当該運送を承認した税関長のほか、貨物のある場所を所轄する税関長に対しても行うことができる。
5.内国貨物を外国貿易機に積んで本邦内の空港相互間を運送する場合には、税関長の承認を受けることを要しない。
1は誤り。保税運送の承認を受けた者から徴収する。(関税法第65条)
2は誤り。そのような規定はなく、関税法第63条第1項の規定する外国貨物から駆り陸揚げ貨物は除外されていないので、開港、税関空港、保税地域、税関官署等と運送できる。
3は誤り。関税法施行令第52条第2号で除外されている。
4は正答。関税法施行令第55条に「当該運送を承認した税関長又は当該貨物のある場所を所轄する税関長に提出」と規定されている。
5は誤り。関税法第66条で承認が必要。なお「外国貿易船等」とは「外国貿易船又は外国貿易機」のことである。(関税法16条)
(山勘ヒント)
やや、強引に理由づけしてます。
到着の遅れは発送側の責任だから1はおかしいな。
仮陸揚げ貨物を保税地域へもっていくこともあるから2もおかしいな(細かいこと。関税法に規定する開港は各港の水域であって埠頭等陸地部分は開港ではない。)
3は、船名変更はともかく運送は必要ないだろう。
4は、遅れの対応は着地でできないと不便だから正しいだろう。
5は、内国貨物を外国貿易船で運送は税関長の承認だった。飛行機も同じだろう。
第23問 次の記述は、関税暫定措置法第8条(加工又は組立てのため輸出された貨物を原材料とした製品の減税)の規定に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、正しい記述がない場合には、「0」をマークしなさい。
1.加工又は組立てのため本邦から輸出された貨物を原材料とした製品については、その製品の種類にかかわらず、関税の軽減を受けることができる。
2.本邦から輸出された原材料以外の原材料が使用されている製品についても、関税の軽減を受けることができる。
3.特恵関税の適用を受けて輸入する物品についても、関税の軽減を受けることができる。
4.輸入される製品に係る関税の額から軽減される関税の額は、輸出された原材料が、その輸出の許可の際の性質及び形状のまま輸入されるものとした場合に課される関税額に相当する額である。
5.輸出する際に必要な手続を行っていない原材料を使用した製品を輸入した場合であっても、当該原材料を本邦から輸出したことが明らかであれば、関税の軽減を受けることができる。
1は、軽減対象の輸出原材料は限定されているので誤り。(関税暫定措置法第8条第1項、関税暫定措置法施行令第20条)
2は、正答。減税額の算出にはいらないだけで減税そのものには影響しない。(関税暫定措置法基本通達8-2)
3は、特恵関税を適用する物品には関税暫定措置法第8条第1項の規定を適用しない(関税暫定措置法第8条第2項)ので誤り。
4は、「当該製品の関税の額に、当該輸出された貨物が輸出の許可の際の性質及び形状により輸入されるものとした場合の課税価格に相当するものとして政令で定めるところにより算出する価格の当該製品の課税価格に対する割合を乗じて算出した額」であるので誤り。ちなみに設問の内容は平成6年改正以前の方式である。
5は、誤り。そのような規定はない。
(山勘ヒント)
実務者ならすぐわかるか。
暫8は繊維担当ばっか、やってきるから全部ではない。
2は、日本から全部もっていくのは難しいだろうから違うだろう。
3は、だぶって申告したおぼえはない。
4は、計算ややこしいけど原材料のところのタリフは見た覚えがない。
5は、これがあれば輸出が楽になるのだが。
第24問 次の記述は、関税定率法第4条の3第1項に規定する国内販売価格に基づく課税価格の決定に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、正しい記述がない場合には、「0」をマークしなさい。
1.課税物件確定の時における性質及び形状により、当該課税物件確定の時に属する日に国内において販売された輸入貨物に係る国内販売価格がある場合であっても、当該輸入貨物の輸入者が要請するときは、課税物件確定の時の属する日後加工の上で国内において販売された当該輸入貨物に係る国内販売価格に基づいて課税価格を計算することができる。
2.課税物件確定の時の属する日後加工の上で国内において販売された輸入貨物に係る国内販売価格と、課税物件確定の時における性質及び形状により、当該課税物件確定の時の属する日に国内において販売された当該輸入貨物と同種の輸入貨物に係る国内販売価格とがある場合には、当該同種の輸入貨物に係る国内販売価格に基づいて課税価格を計算する。
3.課税物件確定の時における性質及び形状により国内において販売された輸入貨物又はこれと同種若しくは類似の輸入貨物に係る国内販売価格がない場合には、輸入者からの要請の有無を問わず、課税物件確定の時の属する日後加工の上で国内において販売された当該輸入貨物に係る国内販売価格に基づいて課税価格を計算する。
4.課税物件確定の時における性質及び形状により国内において販売された輸入貨物に係る国内販売の単価が複数ある場合は、当該単価のうち最小のものに基づいて国内販売価格を計算する。
5.課税物件確定の時における性質及び形状により国内において販売された輸入貨物に係る国内販売の単価が複数ある場合は、当該単価の平均値に基づいて国内販売価格を計算する。
1は誤り。国内加工後の価格に基づく評価は、課税物件確定の時における性質及び形状により、当該課税物件確定の時に属する日に国内において販売された輸入貨物に係る国内販売価格がなく、かつ、輸入者の要請する場合に限られる(関税定率法第4条の3第1項ただし書き)。輸入者の要請があった場合、(国内販売価格があっても)製造原価による評価を国内販売価格による評価に優先して適用できることと混同しないように。
2は、正答。(関税定率法第4条の3第1項)
3は誤り。要請が必要。(関税定率法第4条の3第1項ただし書き)
4は、誤り。各単価につき数量が最大のものを使用する(関税定率法施行令第1条の9第2項)。第4条の2による同種・類似は複数ある場合に最小のものを用いることと混同しないこと。
5は誤り。(理由は4と同じ)
国内販売価格による評価。無理に5つの設問を作っている気がする。例えば4と5は同じ場合で両方とも×問にしている。
なお2は同種の輸入貨物につき当該輸入貨物と同一の生産国であることが規定されていないが、関税協会の回答例に従い正答と解する。
第25問 次の記述は、「関税率表の解釈に関する通則」に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、正しい記述がない場合には、「0」をマークしなさい。
1.関税率表の各項に記載するいずれかの物品には、未完成の物品で、完成した物品としての重要な特性を提示の際に有するものは含まれるが、完成した物品で、提示の際に組み立ててないもの及び分解してあるものは含まれない。
2.関税率表の各項に記載するいずれかの材料又は物質には、当該材料又は物質に他の材料又は物質を混合した物品は含まれるが、当該材料又は物質に他の材料又は物質を結合した物品は含まれない。
3.物品が二以上の項に属するとみられる場合であって、当該二以上の項のそれぞれが当該物品に含まれる材料又は物質の一部のみについて記載をしているときには、当該物品について一層完全な又は詳細な記載をしている項が優先する。
4.二以上の項に属するとみられる物品であって、関税率表の解釈に関する通則3(a)及び3(b)の規定によりその所属を決定することができないものは、等しく考慮に値する項のうち最も高い税率が定められている項に属し、最も高い税率が定められている項が複数ある場合には、それらの項のうち数字上の配列において最後となる項に属する。
5.特定の物品又は物品のセットを収納するために特に製作された容器であって、長期間の使用に適し、当該容器に収納される物品とともに提示され、かつ、通常当該物品とともに販売されるものは、当該容器が重要な特性を全体に与えている場合を除き、当該物品に含まれる。
1は誤り(通則2(a))
2は誤り(通則2(b))
3は誤り(通則3(a)ただし書き)
4は誤り(通則3(c))。税率は考慮せず、数字上の配列において最後となる項に分類。
5は正答(通則5(a))
通則そのままといった出題。通則は分類の基本だからしっかり覚えたい。
第26問 次の記述は、輸出貿易管理令の規定による経済産業大臣の輸出の許可又は承認に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、正しい記述がない場合には、「0」をマークしなさい。
1.総価額が100万円以下の漁ろう設備を有する船舶(漁船)を輸出しようとする場合には、輸出の承認は要しない。
2.輸出貿易管理令別表第1の16の項の中欄に掲げる貨物をアメリカ合衆国を仕向地として輸出しようとする場合には、輸出の許可は要しない。
3.国際郵便を利用して輸出しようとする場合は、輸出貿易管理令別表第1に掲げる貨物であっても、輸出の許可は要しない。
4.経済産業大臣は、輸出の承認を受けないで貨物を輸出した者に対し、3年以内の期間を限り、輸出を行うことを禁止することができる。
5.財務大臣が貨物の輸出を行う場合には、輸出の許可又は承認を受けることを要しない。
1は誤り。漁船についての金額特例は、従来は100万以下は適用除外だったが、輸出貿易管理令の改正(平成18年政令第387号、平成19年1月15日施行)で金額特例が漁船について廃止された。
2は、正答。輸出貿易管理令別表第1の16の項の中欄に掲げる貨物は、アメリカ合衆国等別表第3に掲げる地域以外への輸出が規制対象。
3は誤り。そのような規定はない。
4は、誤り。外国為替及び外国貿易法第53条に基づく輸出禁止の制裁は、輸出貿易管理令別表第1貨物の輸出許可制の違反は、3年以下だが、それ以外の輸出承認等にかかる違反は1年以内である。
5は誤り。経済産業大臣の輸出のみ特例である(輸出貿易管理令第12条第1項)
1は、改正は出題されるの法則どおり。
3は、国際郵便が適用除外だったら郵便で大変なものが輸出されそうなので違うだろう。
4は期間の違いで×問。こういうのは難しい。
この問題。2の輸出貿易管理令別表第1の16の適用範囲をしっかり把握しておくのがポイントかな。後は知っていないと推定も困難。
第27問 次の記述は、関税法第8章に規定する不服申立てに関するものであるが、その記述の誤っているものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、誤っている記述がない場合には、「0」をマークしなさい。
1.関税法第69条の12第1項(輸入してはならない貨物に係る認定手続)の規定による認定について審査請求があったときは、財務大臣は、関税等不服審査会に諮問しなければならない。
2.関税法又は他の関税に関する法律の規定による税関長の処分に不服がある者が異議申立てをすることができる期間は、当該処分があったことを知った日の翌日から起算して2月以内とされている。
3.関税の徴収に関する処分の取消訴訟は、当該処分についての審査請求に対する裁決を経ることなく提起することができる。
4.関税法又は他の関税に関する法律の規定による税関職員の処分は、当該職員の属する税関の税関長がした処分とみなされる。
5.関税法第48条第1項(許可の取消し等)の規定に基づく保税地域への外国貨物の搬入停止処分について審査請求があったときは、財務大臣は、関税等不服審査会に諮問することを要しない。
1は正答(関税法第91条第3号)
2は正答(関税法第89条第2項)
3は誤り(関税法第93条)
4は正答(関税法第89条第3項)
4は正答。関税法第91条に規定する諮問事項に保税地域関係の処分は、はいっていない。
なお諮問事項のうち、関税の賦課徴収関係とわいせつ・児童ポルノの該当通知は行政不服審査前置だが、知的財産関係の認定等は、行政不服審査前置でないことに注意。
第28問 次の文章は、関税法に規定する輸入してはならない貨物に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、正しい記述がない場合には、「0」をマークしなさい。
1.回路配置利用権者は、自己の有する回路配置利用権を侵害すると認める貨物の輸入に関し、税関長に対して輸入差止申立てをすることができる。
2.税関長は、特許権者がした輸入差止申立てを受理した場合において、当該申立てに係る貨物を輸入しようとする者が被るおそれがある損害の賠償を担保するため、当該申立てをした者に対して、相当と認める額の金銭をその指定する供託所に供託すべき旨を命じなければならない。
3.輸入差止申立てに係る貨物を輸入しようとする者が被るおそれがある損害の賠償を担保するための供託を命じられた権利者が当該供託をしない場合には、税関長は当該貨物についての認定手続を取り止めなければならない。
4.税関長は、輸入されようとする貨物が紙幣の偽造品である場合には、当該貨物を没収して廃棄することができる。
5.税関長は、輸入されようとする貨物が児童ポルノに該当する場合には、当該貨物を輸入しようとする者に対して、その積戻しを命じることができる。
1は、あやまり。回路配置利用権は、輸入差止申立ての対象から除かれている。(関税法第69条の13第1項)。当局者の説明では需要がないとのこと。
2は、あやまり。「命ずることができる」である(関税法第69条の15第1項)。なお実際の運用は、「申立人と輸入者等の主張が対立し、当該物品について侵害物品か否か認定しがたい場合とする。ただし、生鮮疑義貨物については、原則として、供託を命ずることとする」となっており(関税法基本通達69の15-1(1))イ)認定が難しい場合に供託させることになっている。
3はあやまり。「取りやめることができる」(関税法第69条の15第10項)である。なお実際の運用は、「やむを得ない理由があると認められるときは、願出により相応の期限を定めて、認定手続の取りやめを猶予して差し支えないこととするが、当該相応の期限内に供託又は支払保証委託契約の締結を行わせることとする。」(関税法基本通達69の15-1(4)ロ)で、一定期間猶予はあっても供託がない場合は取り止めになることになる。
4は、正答。(関税法第69条の11第2項)なお、輸入してはならない貨物のうち、第7号の公安又は風俗を害する物品及び第8号の児童ポルノ以外については、没収し廃棄又は積戻し命令が可能だが、第7号及び第8号の物品については該当通知のみで、没収し廃棄又は積戻し命令はできない。これは第7号及び第8号の物品については表現の自由との兼ね合いでこう規定されていると説明されている。
5は誤り。理由は4についての解説を参照。
第29問 次の記述は、関税法に規定する輸出してはならない貨物に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、正しい記述がない場合には、「0」をマークしなさい。
1.著作権を侵害する物品は、輸出してはならない貨物であるが、著作隣接権を侵害する物品は、輸出してはならない貨物ではない。
2.回路配置利用権を侵害する物品は、輸出してはならない貨物ではない。
3.商標権を侵害する物品が輸出されようとする場合には、税関長は、当該物品を直ちに没収して廃棄しなければならない。
4.不正競争防止法第2条第1項に掲げる行為を組成する物品は、すべて輸出してはならない貨物である。
5.商標権を侵害する物品であっても、輸出する数量が少量の場合には、輸出することが可能である。
1は、誤り。(関税法第69条の2第1項第3号)。なお関税法において著作権と著作隣接権は、同じ扱いになっている。
2は、正答(関税法第69条の2第1項第3号にはいっていない)。回路配置利用権は、輸入でも差し止め申立の対象でないなど他と異なった扱いがある。
3は、誤り。(関税法第69条の2第2項)「没収して廃棄できる」である。
4は、誤り(関税法第69条の2第1項第4号)。不正競争防止法第19条第1項第1号から第5号(適用除外)に掲げる行為は除かれる。)これは輸入の場合も同じ。
5は誤り。そのような規定はない。
第30問 次の記述は、関税定率法第8条に規定する不当廉売関税に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、正しい記述がない場合には、「0」をマークしなさい。
1.不当廉売とは、本邦において消費されている同種の貨物の通常の価格より低い価格で本邦に向けて貨物を輸出のために販売することをいう。
2.不当廉売関税は、不当廉売された貨物の輸入が本邦の産業に実質的な損害を与え、かつ、当該本邦の産業を保護するため必要があると認められるときに限り、課すことができる。
3.不当廉売関税は、関税定率法別表の税率による関税に代えて課される。
4.不当廉売関税は、本邦の産業を保護するために課されるものであるから、輸入者が納付した不当廉売関税が還付されることはない。
5.不当廉売関税を課すことを求めることができる者は、不当廉売された輸入貨物と同種の貨物の本邦の生産者又はその団体に限られる。
1は誤り。不当廉売の原則は、輸出国における国内販売価格と比較である(関税定率法第8条第1項)
2は誤り。損害のおそれ又は産業確立の実質的妨げも発動可能。(関税定率法第8条第1項)
3は誤り。関税定率法別表の税率のほか、課される。(関税定率法第8条第1項)
4は誤り。不当廉売関税が実際の不当廉売差額を超える場合、還付請求ができる(関税定率法第8条第33項)
5は誤り。不当廉売関税を課すことを求めることができる者は本邦の産業に利害関係を有する者((関税定率法第8条第4項)であるが、この本邦の産業に利害関係を有する者は、本邦の生産者又はその団体のほか、当該産業の労働組合も含まれる(不当廉売関税に関する政令第5条)
よってこの問いは回答は「0」をマークである。
第15問が相殺関税で、この問題で不当廉売関税。特殊関税は最近のトレンドのようです。条文は読みにくいけど通達に行くところがほとんどないので、法令だけでしっかりおさえれば回答できます。
来年は緊急関税と報復関税でしょうか。